私達は『武士道剣士』を先頭に、狼の領域を突き進んでいった。
そして・・・ようやく空が見えた。
真っ暗闇に覆われた、邪悪な空を。
-死んだ木の森-
名の通り、森は朽ち果て死んでしまっている。今でこそこの様な有様だが、かつては美しい木々を並べていたのだろうか。
そして、その森にはゾンビとなった者が恐ろしい数、存在する。せめて私達の手で成仏させてやろう。
「さて、着きましたね。私達は『死森2』へ行きます。貴方方は此処でどうぞ。」
「ああ。しかし、まだ連れが・・・」
「あの方達では?」
「?」
武士道剣士が指差す先を見ると、ゾンビたちの陰に隠れる、二人の人影が見えた。
「あ、いたいた。プレイヤーさ〜ん!」
「随分と手間取ったようであるな。」
なんと、魔女さんと初心者王だった。
「魔女殿!?初心者王殿!?いつの間に追い抜かれたでござるか!?」
いくら何でも早すぎる。一体二人は、どのような道を通り此処へ来たのだろう?
「初心者王さんが『閉鉱帰還の書』持ってたんですよ〜 死森4までひとっとびです!」
「魔女よ、閉鉱書代は払ってもらうからな。」
そのような便利なものがあったなら、先に言ってくれ・・・
武士道剣士と斬り盗賊君は、隣の『死んだ木の森2』へと移動した。
冒険者に人気の狩場と言われる『死森』だが、平坦な地形、ゾンビ達の量。どちらをとっても、納得せざるを得ない。
「魔女さん、初心者王、話が…」
私は二人に、武士道剣士に【勝負】を挑まれたことを話した。
「余の承諾も得ずにその様な勝負を受けるとは!全くおヌシは不届きであるな!」
「あら、面白そうじゃないですか〜。負けてもギルドに入れられるだけなんですよね?」
「ああ。」
「わたし達、無所属ですし。武士道剣士さんがどんな人かは知りませんけど。」
「そう言えば、師匠も無所属でござったな。勧誘の途中だったのでござろうか?」
斬り盗賊君は例の【聖光バスター】へは加入していないようだ。武士道剣士、ここでギルド員を一気に増やすつもりなのだろうか?
私は【聖光バスター】と言う名は嫌いではないのだが… 投げ侍の嫌がりようを見ると、ここで負けるとさぞかし恨まれそうだ。
しかし、【勝負】するのなら是非とも【勝利】と言う栄冠を勝ち取りたい。
「おしゃべりはそこまででござる!ゾンビ歯、集めまくるでござるよ〜!!」
かくして、私達の『ゾンビ狩り』が始まった…
「…時間制限は無いんですか?」
「いちじかん」
魔女さんの問いに、斬り盗賊君が遠くから即答した。
『食らえッ!!』
ゾンビの懐に飛び込み、殴りかかる。
…手ごたえ有りだ。
しかし…ゾンビが少し後退したかと思うと、すぐに体制を整え、間髪入れずに、鋭い爪で反撃をもらう。距離を置いても、口から緑色の霧を放つ。
近距離、中距離においても、臨機応変に攻撃してくる強敵だ。
『プレイヤー殿!毒霧には気をつけて下され!』
『緑色の霧』は強い毒性があり、下手に吸い込むと、猛毒に冒されてしまうと言う…
攻撃を受けないよう、細心の注意を払い戦う。
「どんどん浄化しますよ〜!」
しかし、どんなに私が頑張ろうとも、今回ばかりは魔女さんが主役だ。
彼女は、『ヒール』による回復と範囲攻撃を同時に行えるからだ。
『クーリゾンビ』は確かに強敵だが・・・・、此処へ登るまでに出会ってきたモンスター達と比べれば、それほど大した事はないモンスターのようだ。
「魔女殿には負けてられないでござる〜!!」
投げ侍も何やら…たこ焼きのようなものを食べながら、いつもは見せないほどのスピードで狩りを続けている。
これは、私も負けてはいられまい。
ところで、投げ侍と魔女さんは狩りに集中しているため、気付いていないようだが…
「やれやれ。余は疲れた。休ませてもらうぞ。」
初心者王は安全地帯で椅子を取り出し…
そこに腰掛けサボっていた。
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