Maple story
・・・此処から先は、巨大な狼男「ウェアウルフ」「ライカンスロープ」が生息する地域。『イエティとペペ』を倒す事すらままならない私達には、とても倒す事など出来ない相手だ。

ここは、通過ポイントとなるのだろう。

「しかし、投げ侍・・・ このような強大なモンスターが住む地域で、本当に私達のLvに合ったモンスターが居ると言うのか?」

「心配ご無用でござるよ。」

モンスターを避けながら進んで行くと・・・ 前方に人影が見える。大きな剣を掲げている所を見ると、戦士のようだ。


「プレイヤー殿!?あ、あれは!?」
「!」


その戦士の前には、妖しく紅く光る瞳・・・そして全身毛皮に包まれた巨大な影が。

あのモンスターが【ウェアウルフ】だと言うだろうか。
そして、その前に立つ人物は、ウェアウルフと戦っているように見える。


『がんばれ』

『【コンボカウンター】・・・溜まりました。盗賊さん、離れていてください・・・』

『おう』


【パニック】!!


その人物の周囲に、青白く輝く光を見たとき、ウェアウルフの身体が崩れ去った。

今までかつて、見た事が無いくらいの・・・凄まじい一撃だった。

『つよ』
『ふう・・・ パニック、未完成ながらも中々の威力ですね・・・ん?』

その人物が此方の存在に気付く。そして、その連れと思われる男が、此方に気付くなり言った。

「おい」
「つかってる」

そのフレーズに、真っ先に反応したのは、投げ侍だった。

『師匠!師匠でござろう!?』
「だれおまえ」

この口調。間違いない。私の大親友である、【斬り盗賊君】だ。

彼もまた、暫く見ないうちに随分と強くなっていた。『ゲッタ』と呼ばれる無骨な短剣を身につけるほど。

「少し会わなかったくらいでそりゃ酷いでござるよ!投げ侍でござるよ!」
「あいつか」
「斬り盗賊君、久しぶりだな。シクルーションリストは役に立っているか?」
「ごめ やみいった」

そして、大剣を掲げた男もまた、私の知る人物だ。

「やあ、また会いましたね。貴方方も死森行きで?」
「ああ、そうだが・・・貴方は武士道剣士と言ったな。その大剣は、もしや?」

「お目が高いですね。そう。戦士の憧れ【グリュンヒル】!遂に装備しましたよ。しかも並のロヘンより強いと来た・・・」

「もうそれ程のレベルなのか。驚いたな・・・。」

メイジの言った通り、私達は少々、のんびりし過ぎているのかも知れない。

「斬り盗賊君、武士道剣士。貴方達もゾンビ狩りをするんだろう?どうだ、私達と一緒に狩らないか?」

「それは良い考えですね。ですが、貴方方には他に連れが居るでしょう。残念ですが、僕達は別の場所で狩りますよ。」

「ごめ」
「そんな、師匠〜〜〜!!」
「うるさい」

どうやら、6人で狩りをするには狭い場所のようだ。それにしても・・・何故、彼は連れが居ることを知っていたのだろう?

「先程、イエペペに絡まれているのを見たのですよ。二人も戦死者を出してしまったのですね。」

「よわ」
「そ、そうか。さてと。私達はそろそろ・・・」

私達が先に行こうとした所、武士道剣士が私を引き止め、話し出した。

「いや、折角会ったのです。ただ狩っても面白くない・・・どうです?ひとつ・・・ゲームをしませんか?」

「・・・ゲーム?」
「これはゲームじゃないのでござるか?」
「それを言ったら終わりですよ。『ゾンビの奥歯』を、どちらのチームが多く集められるか・・・勝負しませんか。」

彼が言う『勝負』の内容は、「クーリゾンビ」の落とす収穫品、【ゾンビのなくした奥歯】を多く集める、と言うものだ。

「なるほど・・・収穫品を集めるのだな。しかし何故、そのような事を?」
「競争相手がいた方が、意欲も向上すると思いましてね。」
「ふむ・・・」


しかし、【勝負】には少なからずリスクが付き纏うものだ。勝敗が決したとして、ただそれだけでは【勝負】の意味は無いが・・・。

彼は、話を続けた。


「そうですね・・・貴方方が勝ったら、僕達のドロップ品を全て差し上げましょう。」

「まて」
「だめ」

「良いのか?・・・私達が負けた場合は?」

斬り盗賊君が止めようとするが、かまわず彼は続けた。

「僕達が勝った場合は・・・そうですね。僕達のギルド【聖光バスター】に入団してもらいます。」

(だ、ダサいでござる・・・)

「ちなみに、読み方は『シャイニングバスター』です。どうです?カッコ良いでしょう。」

(ますますダサいでござる!!!)


投げ侍が、青ざめた顔で此方を見る。そして小さな声で私に語りかけた。

「あんなダサい名前のギルドに入れられたらたまったもんじゃ無いでござる・・・こんな勝負断るでござる、プレイヤー殿!」

「そうか?私は悪くないと思うが・・・」
「拙者は嫌でござるよ!」

「しかし、男として勝負から逃げる訳にもいくまいよ。此方は4人だ。大丈夫だろう。」

「うう・・・」

投げ侍は必死に勝負を取り止めようとするが、私のプライドに賭けて、引く訳にはいかない。

「わかった。武士道剣士。この勝負、受けて立とうじゃないか!」


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