-氷の谷2-
魔女さんと初心者王は村へと送り返された。
氷の谷、上部に避難した私達は考えた。私は、この先どうするか・・・
ここは、投げ侍の判断に委ねる事にしよう。
「そうでござるなあ。拙者達が先に狩場を確保するべきでござるよ。」
「先に行くと言う事だな。初心者王には悪いが・・・行くとしよう。」
私達が先を急ごうとしたところ・・・ 露店を営んでいる男が私を引きとめた。
男の名は『グリーバ』と言った。
『そこ行く冒険者。この先・・・【険しき絶壁】へ行くのか?』
「ああ。」
「ゾンビ狩りに行くのでござるよ。」
『止めておけ。あそこは人間の行く所ではない。どうしても、どうしても行くと言うのならば・・・』
「行くと言うの・・・」
「ならば?」
男は、一拍置き、重くその口を開いた。
『俺の店でアイテムを補充しておくがいい。絶壁は果てなく険しいからな。』
「あらー、商売文句でござったか。」
「驚かせないで欲しいな、まったく。」
しかし、彼の商売文句も筋は通っている。この先どんな強敵が待ち構えているか解らない。準備は入念に行った方が良いだろう。
私達は、そこで薬や食料を調達し、グリーバの店を後にした。
そして私達は、木で出来た大きな門をくぐる。
-険しい絶壁-
夜でも無いのに、辺りは薄暗くなってきた。『死んだ木の森』から流れる空気がこの辺りまで影響を及ぼしているというのだろうか?
イエティとは少し違う・・・ 毛の色が少々、黒ずんだイエティなども見受けられる。
「イエティの色違いでいっぱいでござるな。」
「ここにも凶悪なモンスターが蠢いていると言ったな。投げ侍、早々に駆け抜けようではないか。」
「そうでござるな。プレイヤー殿、パワーガードは外しておくでござるよ。」
「外すと言っても、一度かけてしまったものは仕方が無いよ。」
「ふふふ・・・」
私がそう言うと、投げ侍が不敵な笑みを浮かべる。
「プレイヤー殿、相変わらず遅れているでござるな!【スキルアイコン】を【みぎくりっく】してみるでござるよ。」
「みぎ・・・くりっく?」
彼の言う通り、私は右上に見えるものを【みぎくりっく】した。
するとどうだろう。なんと、私を取り巻いていた補助魔法の効果が消えたのだ。どうやら・・・この方法を用いれば、一度かかった補助魔法を効果時間内でも打ち消す事が出来るそうだ。
この世界。まだまだ学ぶ事が多いようだ。
「パワーガードが消えた、な。これで体当たりしてしまう心配も無いだろう。」
「受けるダメージは少し増えてしまうでござるが、ここは我慢でござるよ、プレイヤー殿。」
険しい絶壁を登りながら、私はそう言う投げ侍に、横目で言った。
「そう言う投げ侍は楽で良いな。【ダークサイト】と言うスキル、私も欲しいものだよ。」
「ふふん、盗賊の特権でござるよ。」
ホワイトパン達を避けながら、私達はひたすら、頂上を目指した。
ひたすら上へ、上へ・・・
そうする内、私達は新たな領域へと足を踏み入れた。
狼たちの聖地。
-狼の領域-へ。
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