こうなっては仕方がない。出来れば強敵、イエティとの戦いは避けたかったのだが…
恐らく私の攻撃は、以前お話した『レベル補正』と言う力が働くため、命中率に期待は出来ないだろう。ここは投げ侍の『ラッキーセブン』に頼る事になるのだろうか。
『プレイヤー殿!手裏剣が切れたでござるよ!』
「なんだって!?」
なんと、投げ侍の持っていた手裏剣が底をついていた。ジュニアイエティを倒す間に最後の手裏剣を使ってしまったようだ。
魔女さんが呆れて言う。
「ゾンビ狩り行く前に気付いて良かったですよ!まったく。」
「め、めんぼくない。」
そう言う間にもイエティはこちらへ向かってくる。初心者王の力は定かではないが…ここは私が前に出るほか無いだろう。
『投げ侍、急いで補充に戻ってくれ。ここは私が食い止めよう!』
「わ、わかったでござる!」
「余も加勢してやろう。ありがたく思うが良いぞ。」
「頼むぞ、初心者王!」
初心者王が手にしたばかりのモップを握り締め、私のすぐ横へ出た。私達二人で、何としても最後の砦である魔女さんは守らなくては。
「が、頑張ってください!お二人とも!」
補助スキルは万全。後は天命だ。
『行くぞっ!!』
私と初心者王が同時に武器を振り下ろす。しかし、それに怯む事無くイエティは突進してくる。
「KBを発生させるには全然、ダメージが足りないみたいであるな…」
それでも攻撃は少しずつヒットしている。このまま続けば何とかなる…と思った、その時だった。イエティが天高く振りかざした拳を、地面へ叩きつけた。
『うわっ!!』
『きゃあっ!!』
叩きつけられた地面が激しく揺れる。そして、その力は衝撃波となって私達を襲う。魔女さんのいる私達の後ろにまで届く程の衝撃波だ。その一撃は重く、一瞬、目の前がぐらつくほど。以前、『ルディブリアム』でも似たような攻撃をするモンスターがいたのだが…それとは桁違いの威力。
「MG切れたら死んじゃいますよ〜!!」
魔女さんが補助魔法の状態を気にしながら、必死でヒールを唱える。その間もなお、イエティの猛攻は続く。地震攻撃を避けるのに精一杯な私達は、次第に追い込まれる。
「まずいな、このままでは・・・!」
「武士はまだ戻って来んのか〜!」
「プレイヤーさん…!ここは悔しいけど、逃げ・・・」
魔女さんがそう言いかけたとき、イエティの背後に何者かが現れた。
【エクスプロージョン】ッ!!
その呪文の詠唱とともに、巨大な爆発が巻き起こる。その爆風の威力は凄まじく、辺りのモンスターを全て巻き込んでゆく。
「す、すごい・・!!」
しかし、助けられたにも関わらず、何者かに対し初心者王が憤慨して言った。
「余の狩場を横狩りしようなど、無礼極まりない!!誰であるか!!名乗れい!!」
すると、聞き覚えのある声が返ってきた。
『折角助けにきたのに、その言い方はひどいの!』
【エクスプロージョン】。
現時点で発見されている、火属性の最強魔法。極めて高位な魔術師のみが唱えられると言われているその魔法は、その威力ゆえ、大量のモンスターを消し炭にしてしまうと言う…その高位の呪文をあの『oメイジo』が使いこなしてしまうとは…
「メイジ!こんなところで会うとはな。」
「ひさしぶりなの」
「もう3次職なんて…わたし達…のんびりしすぎなんでしょうか…?」
「しすぎなの!」
私たちが再会を懐かしんでいると、初心者王が冷静に言った。
「プレイヤーよ。あの者はおヌシの知り合いか。」
「ああ。」
「再会を懐かしむのも良い。しかし。今の騒ぎで周りのイエティを目覚めさせてしまったぞ…」
「え・・・」
なんと、先程の『エクスプロージョン』の力で周りにいたジュニアイエティが全て、大人へと成長してしまったのだ。
「一体でも苦戦していたのに…」
そこに、投げ侍が帰ってきた。
「あ、おかえりなさい、投げ侍さん。」
「うおおっ!?イエティが増えているでござる!?」
メイジが不機嫌そうに言う。
「あんたも一緒だったの?」
「む…メイジ殿も一緒でござったか。」
投げ侍がドンと胸を叩いて言った。
「しかし、拙者が戻ってきたからにはもう安心でござるよ!さあ、拙者の本気を〜」
『あんたは下がっててほしいの!』
「むっ!?」
メイジが一喝した。
「自分でまいたタネは自分で片付けるの。ここは任せて、早く登るの。ゾンビ狩りへいくんでしょ?」
メイジは私達が『ゾンビ狩り』をしに行くのを知っていたようだ。しかし、いつ知ったのだろうか?
「友チャで聞いてたの。さ、早く!」
「・・・わかった!すまない!メイジ!」
「頼みましたよ、メイジさんっ!」
「頼もしい家臣であるな。」
「もう数に入ったのでござるか!?」
私達はメイジ一人を残し、険しい絶壁を登ってゆく…
(らっき〜!イエティの狩場、使いたかったの!)
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