「・・・ござる?」
よく見ると、地面に手裏剣が転がっていた。『投げ侍』に間違いないだろう。
「お主はなんじゃ!横殴りなどしおってからに!」
魔法じじいが激怒して投げ侍に近寄る。それを察したか、投げ侍は平謝り状態だ。
「すすす、すまぬでござる!すまぬでござる〜〜!」
『謝って済めばケイサツはいらんわい!!全く最近の若者は【えちけっと】を知らん!!』
魔女さんが慌てて止めに入る。
「待って下さい、おじいちゃん!その人は、わたし達の友達なんです!」
それに合わせて私もフォローする。
「その人は悪意があってそんな事をする人じゃない。だろう?投げ侍?」
「も、もちろんでござるよ・・・」
「ふうむ・・・いた仕方あるまい。ここは二人に免じて勘弁してやるわい。」
投げ侍は安心したのか、一息おいて言った。
「前のルディクエ以来でござるな、お二方。今度は何をしているのでござるか?」
「ああ、話せば長くなるが・・・」
私は、メイプル古書を探して各地を回っていた事、最後の古書のありかは突き止めた事、帰る途中にとある事件に巻き込まれた事・・・そんな話をした。
「さすがプレイヤー殿!色んな冒険をしているのでござるな。」
「それで、盗まれたと言うマリワカのハンドバッグを・・・そうだ。今の幹部の男、ハンドバッグを落とさなかったか?」「落ちて・・・ませんねえ。」
その時、魔法じじいが何か思い出したように言った。
「ハンドバッグ、じゃと?」
「ああ、魔法じじいには幹部の男の話しかしていなかったな。ヤツのような男が、マリワカと言う女性のハンドバッグを盗んだらしいのだが・・・」
『もしかして・・・コレのことかのう?』
「へ?」
魔法じじいが懐から青いバッグを取り出す。高級品を思わせるそのバッグは、マリワカの話していたものにかなり近い。
「このバッグをどこで?」
「駐車場でPT狩りをしておったら落ちておったのじゃ。幹部クラスの男ならあそこにはウヨウヨおるぞ。なんじゃ、お主らはこれを探しておったのか?」
呆然とする私達に、投げ侍が言った。
「探し物は見つかったようでござるな!よかったでござるなあ!お二方!」
もっと、ちゃんと説明しておくべきだった。・・・これも一つの、教訓だろう。
魔法じじいが持っていたハンドバッグをマリワカの所へ持って行くと、案の定、それは彼女のバッグだった。
「あ、これよ!私のバッグ!ほとんど諦めていたのに・・・本当にありがとう!」
「はは・・・」
さすがに今回の事は、素直に喜べないような気がした。何にせよ、マリワカの手元にバッグが戻ったのだから、良しとしておく事にする。
「大したお礼は出来ないんだけど・・・これ、貰ってくれない?」
そう言われ、沢山の『万病治療薬』を手渡された。どんな状態異常でも治してしまうと言う、素晴らしい薬だ。
「ありがとう。だが・・・これは、魔法じじいに渡すべきだな。」
「そうですね。おじいちゃんが見つけたハンドバッグですから。」
私が万病治療薬を手渡そうとすると、彼は背を向けこう言った。
「いや、それはお主らが持って行くとええ。」
「え・・・?」
「いいのか、魔法じじい?」
続けて、彼は語りだす。
『お主らはもう、古書とやらを探しに行くのじゃろう?かわいい弟子とその仲間の新たな旅立ちじゃ。・・・餞別というヤツじゃ!持ってけ!』
「おじいちゃん・・・」
「カッコいいでござるよ!ご老人!」
「ふふん、おだててももう何も出んぞ?」
「ありがとう、魔法じじい!」
・・・投げ侍を加えた私達は、魔法じじいに見送られながら、『いちご牛乳』の力でショーワ町を後にした。
『【まーちゃん】を・・・頼んだぞ。』
気がつくと、私達は『きのこ神社』にいた。到着してすぐ、投げ侍が不機嫌そうに話しだした。
「しかし、プレイヤー殿・・・」
「どうした、投げ侍?」
『古書集めやチンピラ退治。そのような愉快な冒険をしていたにも関わらず、拙者を誘ってくれぬなど、酷いでござるよ!』
どうやら投げ侍は、私達の今までの出来事に一緒に立ち会えなかった事を悔しがっているようだ。
「いや、酷いと言われても・・・」
「水臭いじゃないでござるか!プレイヤー殿!」
古書集め自体、突然舞い込んできた冒険なのだから、仲間を呼ぶ暇など無かったのだ。私がどう言って良いものか困っていたところ、魔女さんがフォローを入れてくれた。
「まあまあ、投げ侍さん。古書はあと一つで全部、揃うんですよ。つまり、これからが一番の見どころなんです!」
その言葉に、彼は何故か納得したような様子で、腕を組み、頷きながら言った。
「そ、そうでござるな。考え様によっては、美味しいとこ取りでござるからな。」
それで納得していいものなのか・・・?そうは思ったが、魔女さんのフォローを無駄にする訳にも行くまい。ここはぐっと堪え、黙っておく事にした。
「では、早速『ビクトリア』に戻るとしようか。準備はいいか?二人とも。」
「塩ラーメンも買いましたし、わたしはOKですよー。」
「拙者も、ここへ来る前に準備済みでござるよ。」
「よし・・・戻ろうか!ビクトリアへ!」
私達は大きなペリカン『ペリー』の力で、『カニングシティー』へと帰還するのであった。
カニングシティーへ帰還した私達は早速、エリニア行きの帰還書を読んだ。
エリニアに到着した私達は、この村に住む高位の魔術師『ハインズ』の家を目指した。
村の上の方に登ってゆくと、大きな家が見えた。あれがハインズの家なのだろう。
そして、家の前に人影が見えた。よく見ると・・・『oメイジo』だった。
「ああっ!プレイヤー君!魔女!遅すぎるの〜!!」
随分と待たせてしまったらしく、彼女はかなり怒っていた。
「す、すまない、メイジ。ジパングで色々あって・・・」
「言い訳は聞きたくないの!・・・そこの投げ賊は友達なの?」
「あ、お初にお目にかかるでござる。拙者、投げ侍と申す。」
「またへんなのが出てきたの・・・ほら、さっさと中に入るの!」
どうやら彼女は、私達が来るまで中に入らず待っていてくれたようだ。余計に、待たせてしまったことが申し訳ない。
「そ、それじゃあ、三冊目の古書を探しに入ろうか。」
「はい!」
私達はメイジを加え、ハインズの家の中へお邪魔した。
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