「もしかして、あのゴロツキ共の事かのう?」
「はい。わたし達は何としてもあの男の人達を・・・銃を持ったあの人を倒さなければならないんです!」
私も、頭を下げて彼に頼んだ。
「私からも頼む。魔法じじい・・・貴方の力が必要なんだ。」
彼は笑みを浮かべて笑って言った。
「ほっほっほ。あ奴らを倒す事など朝飯前じゃ。それに、他でもないまーちゃんの頼みじゃ。おじいちゃんに任せておきなされ。」
『本当ですか!?おじいちゃん!』
「ああ任せておけ!・・・プレイヤー君だったかな?ワシの戦い、よ〜く目に焼き付けておくのじゃぞ。」
「わ、わかった。」
一呼吸置き、彼は続けた。
「じゃが、先程の戦いで疲れたじゃろう。銭湯でも行って、疲れを癒すがええ。」
「あ、それ賛成です。いちご牛乳も買っておきたいですしね。」
「銭湯、か。実際に奥まで入るのは初めてだ。」
私達は銭湯の前にいる老婆に300メルを支払い、銭湯へ入った。が、魔女さんの姿が見えない。
「魔女さんの姿が見えないが・・・」
「おヌシ、混浴だとでも思ったのかのう?」
「い、いや、そう言う訳では・・・」
「ところでタオルは持っとるかのう?銭湯に入るなら必需品じゃぞ。」
タオルなら以前、露店で購入した事がある。現に少し前、『メイジ』を救出しようとした時に着ていた。
「ああ。露店で10万メルほどで購入してある。」
『10万メルじゃとう!?』
魔法じじいが目を丸くして言った。何か気に触る事でも言ったのだろうか?
「ここの売店をよ〜く見てみるのじゃ!」
【タオル 30000メル】
「・・・・・」
どうやら、ぼったくりに遭っていたようだ。
気を取り直し、私達は湯につかる。タオルを装備していると、体力の回復量が上がるのだとか。
「あまり走り回るんじゃないぞ、ほっほ。」
「子供じゃあるまいし・・・」
「・・・さて、プレイヤー君?」
魔法じじいの表情が急に険しくなる。きっと、何か重い話をしようとしているのだろう。私はぐっと身構え、言った。「・・・何だ?」
「まーちゃんとはどこまでいった関係かのう?」
・・・・。
お約束と言えば、お約束だ。思わせぶりな表情で言わないで欲しい。
「仲間・・・いや、親友かな。」
「ほう。親友、とな。」
「あの子が心を開くとは、お主、なかなかの人物のようじゃのう。」
「私が、か?」
「まーちゃんは以前会った時よりも数段明るくなっていた。よほど楽しい事があったのじゃろうな。」
彼の話によると、魔女さんは『向こうの世界』で何か暗い過去を背負っているのだと言う。具体的に聞いた訳ではないが、気持ちは十分に伝わる。
「あの子は逃げおるんじゃ、現実から・・・しかし、逃げ道があるだけ良いじゃろう。お主やその仲間なら、あるいは・・・いや、これ以上は言わないでおこう。」
「私達、なら・・・?」
「普段どおり接してあげれば良いのじゃ。これからもまーちゃんの事、よろしくな。」
「ああ、勿論だ。親友だからな。」
色々話している内、かなりの長風呂になってしまったようだ。・・・少々、のぼせてきた。
「魔法じじい、そろそろあがらないか?」
「む・・・長話をしてしまったようじゃの。そろそろあがるとするか。ほっほ。」
銭湯から出ると、魔女さんが待っていた。
「遅いですよ〜。二人とも。いいお湯でしたね!」
「あ、ああ。すまない・・・」
「どうしたんですか?プレイヤーさん?」
「いや、何でもないよ。・・・行こうか、裏通りへ!」
「久々に腕が鳴るわい!」
私達は再び、裏通りへと向かう・・・
私達は再び、あの男達の元へとやって来た。ショーワ町・裏通りに。
『お前ならまた来ると思ったよ。どうせ、要求を飲む気は無いんだろ?・・・お前ら、やっちまいな!』
幹部の男がそう言うと、彼の手下達が大勢現れ、武器を持ちこちらへ向かってくる。
「前より数が増えているな・・」
「なぁに、ワシにかかればこのくらい。」
【シャイニングレイ】ッ!!
魔法じじいがその魔法を唱えると、凄まじいまでの閃光が引き起こされる。それはまさに、私達がピンチに陥った時に見た『光』だった。
「まあ、こんなもんかのう?」
まさに一掃。大勢の手下達の姿はどこにも無かった。これが『プリースト』の・・・
『三次職』の力なのだろうか。
「す、すごい・・・!!」
「おじいちゃん、すごいです!」
幹部の男は明らかに動揺している。
「な、何をしやがったんだ!?あのジジイは!?」
あとは幹部の男、一人だけだ。しかし魔法じじいは戦う様子は無く、私達にこう言った。
『さあ、あとはお前さん達の出番じゃ。わしゃあ少し休むよ。』
「え、おじいちゃん・・・手伝ってくれないんですか?」
『ワシが手伝えばあの男を倒すのも容易い事じゃ。しかし、それではお主達のチカラにはならん。これは試練じゃよ。まーちゃん。』
「で、でも・・・」
「大丈夫じゃ。プレイヤー君がいるじゃないか。」
そうだ。幹部の男の動揺ぶりを見る限り、魔法じじいなら奴を倒す事だって可能だろう。しかし・・・それでは私達のためにはならない。そう考えての言葉なのだろう。
『わかった!私と魔女さんだけで・・・奴を倒す!』
『何だ、そこのジジイは来ねえのか?』
「そうだ。お前一人、私達二人で十分だ。」
「おじいちゃんが出るまでもないです!」
相手が一人となると、さすがに魔女さんも強気になるようだ。
「ガキ共が・・・後悔させてやる。」
仮に私達が力及ばなかったとしても、魔法じじいが奴を葬るだろう。・・・だが、その事は口には出さないでおく。
「魔女さん、『ブレス』を頼む!」
「はいっ!」
恐らく・・・奴のレベルからすると、回避率は半端ではない。少しでも命中率を上げておこうと言う作戦だ。しかし・・・
『MISS』
『MISS』
そう甘くは無い。以前も話したが、『レベル補正』と言う不思議な力がある。その力のせいか、奴への攻撃はなかなか届かない。私と奴とのレベル差は、かなり広いと言うことか・・・
それでも、少しずつだがダメージは与えている。奴の銃による攻撃は重いが、魔女さんの『ヒール』で体力が無くなる事は無さそうだ。
「くそっ、手下共さえいればこんな奴・・・」
「よし・・あと一息だ!」
「はい!」
そう思った瞬間だった。
『ぐあぁー!!』
そう叫び、幹部は膝を地に付き、倒れた。私達が倒した?いや、違う。私達が最後に攻撃を加えた時と、奴が倒れた今では、随分時間がある。一体、誰が・・・?
「おぉ、やったのう!・・・ん?お主らが倒したのではないのか?」
「倒せたことには倒せたのだが・・・」
「トドメをさせたのは別の人みたいなんです。」
「ふぅむ・・・では、一体誰が?」
私達が考えていると、聞き覚えのある声が聞えてきた。
『プレイヤー殿、魔女殿!?す、すまんでござる!!すまんでござるぅ〜!!』
>>第71話へ
