足を踏み入れたとたん、坊主頭のチンピラに睨まれる。木刀を持ったその男は、今にも私達に襲い掛かってきそうだ。
「物騒な所だな。」
「なるべく関わらないようにしましょう、プレイヤーさん・・・」
いくらチンピラとは言え、相手は人間だ。無駄な戦いは避けたい。私達は彼らを避けつつ、通り抜けるつもりだった。
・・・ガッ!!
『あ 痛てぇッ!!』
「す、すまない。」
チンピラの肩がぶつかってしまった。・・・これは、まずい状況かもしれない。
『お〜ぅ痛て〜え!! おぅ兄ちゃん、どう落とし前つけてくれんだぁ?』
しかし、それほど強くぶつかった訳でもないのだが・・・
「少し肩が当たっただけではないか。」
『あぁん!?これで少しだと!?ナメてんのか?あぁ?』
「プ、プレイヤーさん・・・」
魔女さんが青ざめた顔で言う。『もしかして、【パワーガード】・・・』
パワーガード。覚えたてで効果がわからぬ能力だったのだが、どうやら、【接触した相手にダメージを返す】技のようだ。・・・どうやらこのチンピラに、パワーガードによる攻撃を加えてしまった事になるらしい。
『お〜お〜!痛てぇ痛てぇ!!イシャリョウ払ってもらうぜ、イシャリョウ!』
「すまないが、今は持ち合わせが少ないのだ。」
『んな事ぁ聞いてねぇよ!!金払えっつってんだろうがよ!!』
こうなってしまっては、もう戦いは避けられないようだ。
「仕方ない、手荒なマネはしたくなかったのだが・・・」
「戦うしかないようですね。」
私達が武器を構えると、裏通りに屯していた男達が一斉に集まってきた。
『こいつらの身包み全部剥いじまえ!!』
チンピラ達が一斉に襲い掛かる。『スラッシュブラスト』で対抗するも、奴らの動きは思ったより俊敏で、攻撃が避けられてしまう。
「まずいな・・・」
あっという間に、私達は壁際に追い込まれてしまう。多勢に無勢とは、この事か。
その時だった。チンピラ達の後ろの方から、大物の風格を漂わせる声が聞こえてきた。
『何だ何だ、何の騒ぎだ?お前ら。』
「アニキじゃねぇですか。こいつ等が俺らに立て付きやがるんでさあ。」
サングラスをかけ、黒いスーツを着た男が歩いてくる。どうやら、彼らを統制する幹部クラスの男のようだ。・・・そして、その手には銃を携えていた。
「プレイヤーさん、あれ・・・!!」
「ああ。この男が持っているようだな。」
「すんませんアニキ、すぐ大人しくさせますぜ。」
チンピラ達が再び襲い掛かる・・・と思った時、幹部らしき男はそれを静止する。
『いや、待て・・・どうやらソイツらはこの俺に用事があるみてえだな。』
「ですがアニキ、こいつらは俺達に立て付いた奴らですぜ?」
『うるせぇ!!俺の言うことが聞けねえのか!!』
『す、すんませんアニキ!!』
この男、只者ではない。私のカンがそう言っている。仮に戦ったとて、到底勝てる相手ではないと悟る。
「なぜ、私達がお前・・・いや、貴方に用があるとわかった?」
「そこの女が俺を見て何か言ったろう?」
「!」
凄い地獄耳の持ち主のようだ。幹部らしき男の手下は襲いかかってくる様子は無い。私は恐る恐る、彼に尋ねる。
「マリワカのハンドバッグを・・・返してはくれないか?」
『おい、マリワカだとよ!!』
『コイツ、何も知らねぇみたいだぜ!!』
「何がおかしいんですかっ!」
手下達が騒ぎ始める。しかし、再び幹部らしき男がそれを静める。
「まーまーまー。お前ら、ちったあ静かにしねぇか。・・・俺に任せておけ。」
そう言って、彼は私の目の前まで近づき、こう言った。
「おい、お前・・・俺と取引しないか?」
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