「それなら話は早い。早速、ビクトリアへ帰ろうじゃないか。船の時間はいつだったか・・・」
私が船着場へ行こうとすると、魔女さんが私を呼び止めた。
「プレイヤーさん、帰るだけなら船はいらないんですよ。」
「まじ」
「船以外にも交通手段があるのか?」
「これです。牛乳!」
魔女さんが鞄から出したのはなんと、あの『フルーツ牛乳』だった。そう言えば随分前にも、貰った事があったような・・・
「魔女さん、もしやそれは以前・・・」
『わあーーーーーーっ!!^^;』
急に魔女さんが私の前に飛び出し、私の言葉を遮った。物凄く焦った様子だったが、私には理由がわからない。
『プ、プレイヤーさん!そんな事はど、どうでもいいじゃないですか!い・・・いいですか、この牛乳はですね・・・』
物凄く動揺しているのが見て取れる。あの時くれた牛乳には何か・・・裏があったのだろうか?ともかく、今は気にしないでおく事にする。
『オルビスやルディでこの牛乳を使うと、すぐに【ジパング】に飛ぶ事ができるんですよ。』
「そんなの常識なの」
「そうなのか?私は初耳だが・・・」
なんと、その牛乳を使えばすぐに『ジパング』へ行く事ができ、そこを経由して簡単にビクトリアへ戻れるのだと言う。ジパングには随分前に行ったが、大体覚えている。
「それなら・・・魔女さん、そのフルーツ牛乳を少し、分けてもらえないか?至急、エリニアへ向かいたいんだ。」
しかし、魔女さんは首をかしげながら言った。
「ん〜・・・。今、牛乳が2個しか無いんです。全員を送るのは無理ですねぇ。」
つけ加えるようにメイジが言った。
「しかも2個あげちゃったら、魔女の分がなくなっちゃうの」
そうだ。今牛乳を2個貰ってしまうと、魔女さんの帰りが大変になってしまうのだ。ここは諦めて、船で行こう・・・と言いかけた所、魔女さんが閃いたように言った。
『そうだ!プレイヤーさん!二人でジパングへ行きましょう!』
「えっ?」
「わたしも牛乳買いに行けますし、プレイヤーさんもエリニアへ行けますよね。一石二鳥ってやつです!」
それなら魔女さんが損する事はほとんど無い・・・とは思ったが、先ほど彼女は『ルディクエをしに行く』と言っていた。私の都合で進路を変えさせてしまうのは少々、申し訳ない。
「るでぃくえしないの」
「そうだよ魔女さん。貴女は先程、ルディクエをしに行くと言っていたではないか。」
魔女さんは横に首を振り、言った。
「ルディクエをしようと思ったのは暇だったからです。それに、プレイヤーさんといた方が、絶対楽しい事、ありますよね!」
私はちょっと照れてしまう。
「そうか?私はそんなに面白い人では無いと思うのだが・・・」
カウボーイがちょっとスネて言った。
「どうしてプレイヤーくんなんだい?ここには彼以外にもいるじゃないかー。」
「おまえはないとおもう」
『斬り賊くん、うるさいよw』
「どうせ一人選ぶなら、一緒にいて楽しい人がいいの」
魔女さんが笑顔で言った。
「みなさんもプレイヤーさんと冒険したなら、薄々感じていると思います。プレイヤーさんと一緒にいると・・・何故か、出会いとかハプニングとか、楽しい事を引き寄せるような。そんな感じがするんです。」
「たしかに」
斬り盗賊君も何故か納得したようだ。
「なんだ、それじゃ私が騒ぎを引き寄せるみたいじゃないか。」
「だからこそ、ですよ!^^」
確かに、私の周りではいつも何かが起こっている。最近は一人でいる時間も少ない事だし、魔女さんが言っていることはあながち、間違っていないのかもしれない。
「こんなに一緒に行きたがってるんだ。プレイヤーくん、行って来たらどうだい?僕ならまだここでやり残したことがあるし、構わないよ。」
「おれもいい」
「あたしは後から船で追いかけるの。ゆっくり行きたいから。」
後は私の決定に委ねられたらしい。しかし私には、断る理由は無い。
『そうだな。魔女さん、一緒に行こうか!ジパングへ!』
「はいっ!^^」
魔女さんから牛乳を受け取り、蓋を開けた。
「せーので飲みましょ。せーので・・・」
「ああ」
『いてら〜、なの』
『古書3冊、しっかり揃えてきておくれよ!』
『がんば』
『『せーのっ!』』
私達は同時にフルーツ牛乳を飲んだ。
牛乳がのどを伝ったかと思うと、意識が遠のき・・・
気がつくと、
そこはかつて見た町、『ショーワ町』だった。
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