『食らえ!アローブローっ!!』
カウボーイの『光の矢』がマスタークロノスへと向かう。あの矢が噂の・・・『ソウルアロー』なのだろうか?
「僕が射抜いた敵は僕の方へ向かうはず!これで少しでも数が減らせれば良いんだけど・・・っ!」
カウボーイが『アローブロー』を撃ち続けている間、私達は逃げ惑う彼女を追いかけていた。
「斬り盗賊君、私が浮き輪を装備して追いかける。君はここで待ち伏せしていてくれないか?」
鈍器使いである私は、浮き輪を装備しても支障はない。しかし、斬り盗賊君は短剣使いなのだ。それを考慮しての作戦のつもりだった。
しかし、斬り盗賊君は私の考えを軽く上回っていた。
「いや」
「おれもおとりやる」
そう言って斬り盗賊君は何かを取り出した。紅いモミジの飾りがついた、艶やかな篭手を。
「もっててよかった」
そう言って斬り盗賊君は手裏剣を構えた。
「斬り盗賊君、それはまさか・・・!?」
「くらえ!」
手裏剣が2個、マスタークロノスへ飛んで行く。そう、それは紛れも無く『ラッキーセブン』だった。
威力は判らないが、敵の気を引くのには絶好の技だろう。案の定、手裏剣をぶつけられたマスタークロノス達は斬り盗賊君のほうに向かって来た。
『斬り賊くん、キミは【投げシーフ】なのかい?』
「ちがう」
「いちだけふった」
私はカウボーイと斬り盗賊君の行動に報いるため、出来る限りの高機動力装備に着替える。
「待ってろ、今行く!」
彼女は疲れたのか、足取りが止まった。状況はまずいが追いつけそうだ。・・・・しかし。固まって彼女を追いかけていたマスタークロノスが拡散した。それが示す事とは、つまり・・・
『うぅ・・・・(TT)』
幽霊となった彼女と墓が見えた。・・・間に合わなかった。
『・・・・すまない。』
私はタオル一丁で断ち尽くしていた。
『い〜や〜!来んな〜〜〜!><』
死してなお、彼女は叫ぶ。死者の叫びとは、まさにこの事だろうか。
「原因はお前だろうがwwwww」
「ふく」
雷魔術師と斬り盗賊君が駆けつけてきた。・・・女性の前でこの格好はまずかっただろうか?
「あー、どまw」
「来るのが遅いの!あたし、町に戻るの・・・」
そう言うと、彼女は墓と共に消えていった。どうやら町へと帰還したようだ。
その後、少し遅れてカウボーイがやってきた。
「やあ。どうだい?助かったのかい?あの子の姿が見えないが・・・」
「はかどろした」
「あぁ・・・間に合わなかったんだね。それもまた運命・・・か。」
マスタークロノスも片付き、一段落ついた。私達がこれからどうしようか・・・そう考えていた時、彼女が帰ってきた。
「ここに来ればいると思ったの」
先ほど助けられなかった手前、私は何を言おうか迷ったが、まずは謝る事にした。
「え〜と・・・すまなかったな。」
「たいして経験値なかったからいいの」
彼女は大して気にしてなかったようだが、その優しい言葉がかえって申し訳ない。
「お前、ここで狩るの早かったんじゃね?」
「余計なお世話なの」
「しかし、経験値を稼ぐだけなら、ここは決して良い狩場ではないはず・・・何か理由があるのか?」
私が尋ねると、彼女はすぐに答えた。
『【ミスティックシールド】。魔盾がほしいの。』
噂にも聞く『ミスティックシールド』。彼女はその盾を入手するため、単身ここに乗り込んだそうだ。
「おい」
「こいつちがう」
斬り盗賊君が倒したマスタークロノスを指差し言った。そう、ミスティックシールドを持つモンスターは『普通のクロノス』なのだから。
「うっそ〜ん」
彼女は間延びした声をあげ、唖然としていた。
『まあ、落ち込んではいけない。確かにキミは経験値を失ったり、勘違いをしたりした。しかしだ。キミは旅の中で一つの【経験】を手にした。数値では測れない【経験】をね!』
カウボーイが言った言葉。私にもどこかジンと来る物があった。【経験値】とは違う【経験】か・・・
「そして僕達はまた一つ、一つの経験をする・・・そう。まだキミの名前を聞いていなかったのさ。」
そう言われてみれば、『雷魔術師の友達』としか聞いていない。私も少し、気になっていた所だ。そして彼女は、一呼吸おいて言った。
『あたしは【oメイジo】。火毒魔なの。』
「まるメイジまる・・・と読めばいいのか?」
『oは飾りなの!!』
「お前アホかwww」
「メイジって呼んで欲しいの」
名前に飾りを付けるとは初耳だ。常に変化する世界に、私は少し遅れをとった感じだ。
「雷魔くん、みんなで何してたの?」
「お前を探してたんだよwww」
「まあ、それだけでは無いのだが」
「なになに?知りたいの」
『メイプル古書と呼ばれる物があって・・・』
私達はメイプル古書を探している事、その古書は全部で三冊あること、その内の一つ・・・『上巻』は既に入手した事を話した。
『メイプル古書?もしかして、これかな?』
彼女は、鞄から一冊の本を取り出した。それは黄色い表紙の・・・『下巻』だった。
「おおっ!?」
「僕達が持っている『上巻』とよく似ている・・・。間違いないようだね。なぜそれをキミが?」
「ここに来る時、倒したクロノスが持ってたの」
モンスターが持っているとは、盲点だった。ジェイと言う男・・・どこをどう行けばこんな場所に物を落とす事ができるのだろうか?ともかく、これで古書は二冊揃った。
「上巻と下巻と来たら・・・間の『中巻』か?」
「案外番外編とか外伝だったりしてなw」
手がかりが全く無い中、早くも二冊目を見つけてしまった。この調子で行くと、三冊目を見つけるのも近いのかも・・・しれない。
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