『メイプル・・・古書?』
「なにそれ」
彼の名は、『ジェイ』と言った。
『メイプル』の歴史が事細かに書かれた三冊の本を、彼は紛失してしまったそうだ。彼にはどうしても、その古書が必要なのだそうだ。しかし、彼の足では探すのは到底無理な話だと言う。
「冒険者さん、どうか・・・お願いできませんか?」
「めんどい」
斬り盗賊君は乗り気ではないようだ。
しかし、気分を変えるのには良い機会だろう。
「わかった。そのメイプル古書とやら、探してみようではないか!」
「おい」
『本当ですか!?ありがとうございます!』
しかし、斬り盗賊君は再び言う。
「おれはいかない」
「何故だ?斬り盗賊君。いつもなら、こういう事は買って出るではないか。」
「かねないし」
どうやら斬り盗賊君は今、懐が寂しいようだ。狩りをするのにも下準備がいる。軽い狩りならまだしも、少々辛い旅になるであろう依頼を、彼は嫌がっているようだ。
しかし・・・彼が行かないとなると、私一人で行く事となる。何とか説得しようと考えたところ・・・懐に『エオス塔』で入手したあのアイテムが残っていたのに気づいた。
そう、『G.トリックスター』を倒した時に入手した
『シクリューションリスト』だ。
「斬り盗賊君!すっかり忘れていたよ。君が失踪している間に入手した、盗賊専用の盾だ。」「くれ」
やはり、彼はこう言うことになると食いつきが早かった。こういう事はしたくなかったのだが・・・このアイテムで、彼を説得することにした。
「斬り盗賊君。この盾を装備し、戦いたくは無いか?」
「うん」
「それなら私と一緒にメイプル古書を探そうではないか!
もちろん、この盾を着けて、だ。」
「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
彼は物凄く長く考え、答えを出した。
「しょうがねーな」
君は単純でよかった。そう言いかけたが、
ここは我慢して、黙っていることにする。
斬り盗賊君の説得も終わった所で、依頼の話に戻す事した。
「しかし、情報が少ないな・・・何処で紛失したとか、覚えは無いのか?」
「曖昧なのですが、オルビス行きの船を往復したことがありました。もしかすると、そこに・・・」
彼は私用で、オルビスとエリニアを行き来していたようだ。もしかすると、船の中に置き忘れていたのかもしれない。
「わかった!・・・よく見れば、出港まであまり時間が無いな。斬り盗賊君、エリニアへ急ごう!」「おk」
私達はエリニアの帰還書を読み、船着場へと急いだ。
>>第五十六話へ
