魔女さんが居なくなった今、頼れるのは己の回復薬のみ。
白い薬が・・・30個。やれるだろうか?
しかし今は戦うしか無い。
考えている間にもグレイの攻撃は続くのだ。
スラッシュブラストで敵を引き付け、
投げ侍のラッキーセブンで1体ずつ片付けて行く。
この作戦はかなり有効らしく、敵の半数を削るまでに至った。
しかし・・・そこで、薬が尽きたのだ。
「投げ侍、もう私はだめかもしれない・・・!薬が底を尽きたのだ・・・・!!」
「それは大変でござる!プレイヤー殿、これを受け取るでござるよ!」
投げ侍が私の方に何か投げてきた。
『塩ラーメン100個』だった。
零れそうなのを間一髪キャッチすると、私は言った。
「せ、戦闘中にゆっくり食事など取れないぞ・・・?」
「ガブ飲みするでござる!効果は白い薬以上でござるよ!」
「あ、ありがとう、投げ侍。」
私はラーメンを食べながら戦うことにした。
・・・・案外、食べながらでも大丈夫なものだな。
『塩ラーメン』を片手に、次々とグレイをなぎ倒していく私達。
・・・傍から見ればとても滑稽な光景だが、
いた仕方あるまい。贅沢を言ってはいられない。
などと考えてる間に、あらかた、グレイは片付いていた。
この戦い、私達に軍配が上がったようだ。
「これ位で良いでござろう、プレイヤー殿。」
「ああ。しかし・・・地球防衛本部に顔向けが出来ないな・・・」
私達はグレイに騙され、重要な文書をグレイ族に流してしまった。
この代償は想像以上に大きいだろう。
「それに、魔女さんも・・・」
と、私が言いかけたとき、上空から魔女さんが降りてきた。
「お、落ちました!^^;大丈夫ですか!?二人とも!!」
もう、戦いは終わったよ。魔女さん・・・
『ごめんなさいっ!ごめんなさいっっ!!』
必死に謝る魔女さん。
そこまで深く謝られると私も困ってしまう。
「いいよ、魔女さん。貴女にも事情があったんだろう。責めたりはしないさ。」
「鯖落ちなんてよくある事でござるよ!魔女殿!」
女性に殿を付けるのはどうかと思った。
が、それが彼の話し方なのだろう。黙っておく事にする。
それにしても「鯖落ち」と言う現象。
この世界には、まだまだ私が想像し得ない部分が多々、あるようだ・・・・
「プレイヤー殿、地球防衛本部にはどう説明するのでござろうか?」
「ありのまま、話すしかあるまい。」
私達は、重い足取りでクーラン草原を後にする・・・
統制区域を横切る途中、一人の地球防衛本部の隊員に会った。
あの『プルレンジャー』の一人、『プルレンジャーイエロー』だ。
「あっ!!あなた方はもしや・・・!」
私達は、この隊員に事情を説明した。
グレイの事、そして、秘密文書の事を。
「遅かったか・・・・やはり、騙されてしまったのですね。外界人グレイに・・・」
「面目無い・・・もう少し、早く気付いていれば・・・!」
しかし、彼は私達を追い立てる事無く、こう話し始めた。文書を失った事は大きな損害だが、まだ時間はあるという。彼は、これからも私達に地球防衛本部の手伝いをして欲しいと言う。手伝いを続けることで、信用を回復させてくれると言うのだ。
「本部には、私から説明しておきましょう。」
「ありがとう、その心遣いに感謝するよ。早速、何か手伝える事があったら、頼んで欲しい!」
私がそう言うと、プルレンジャーイエローは仮面の中から笑顔を見せ、こう言った。
「そうですね、まずは・・・・」
『ピピピピピピピピ!』
「おっと、すいません。本部から連絡が入ったようです。」
プルレンジャーイエローは携帯電話のような物を取り出し、話し始める。
盗み聞きのようだが、通信内容が私達にも聞こえてきた。
『大変だ!!エオス塔から『ロムバード』が・・・!!』
エオス塔最大の敵、ロムバード。塔の奥にいるはずのモンスターが突如、基地内へ向かって来ていると言う。戦える者はほとんど統制区域の方に向かっているので、応援を要請しているようだ。
私達の考えは一つだった。
「プルレンジャーイエローよ。悪いが今の話、聞かせてもらった。」
「拙者達、腕には自信があるつもりでござる。」
「信用を取り戻すための最初の仕事として、わたし達に任せてはいかがでしょう?」
プルレンジャーイエローは言った。
「『ロムバード』は外界人よりもさらに危険な存在だ。だが、あの大量のグレイ族を相手にし、生還したあなた方なら、もしかすると・・・」
一呼吸置いて、こう言った。
「よし、ここはあなた方に任せてみましょう。幸運を祈りますよ。」
私達は、地球防衛本部に迫る脅威、『ロムバード』を打ち倒すため、
統制区域を後にし、地球防衛本部へと急ぐ。
>>第三十八話
