Maple story
彼女の話だと、命を再び蘇らせる方法が一つだけあるという。『死者の護符』には死者の魂を呼び寄せる力があるというのだ。彼女はそのアイテムを100個集めてきて欲しいと、再び私達に依頼したのだった。

「死者の護符というと・・・ゾンビキノコだろうか?」
「うn」「ありのす」

アリの巣。私達がまさに向かおうとしていた場所だった。レベルアップを計るのと同時に人助けが出来るのなら、お安い御用だ。私達は快く了解し、再び『アリの巣』へ向かうのであった。

以前ここに来た時には「魔女」さんが一緒に手伝ってくれたのだが、今度は私と斬り盗賊君だけだ。しかも収穫品を集める数は格段に上だ。・・・考えても仕方が無い。私達は狩りを始める事にした。驚くほど順調に狩りは進んだ。死者の護符も着々とたまりつつある。

しかしそこに『ヤツ』が現われた。
雷鳴の轟きと共に、大勢のゾンビキノコが消え去ってゆく。

そう、以前同じ場所で私達の邪魔をした『雷魔術師』だった。

「またお前らか」
「・・・貴様か、雷魔術師」
「よこすんな」

今度は奴を2人で追い払わなければならない。私達は以前より強くなった・・・が、奴もまた、強くなっている。その上テレポートで近づき、次々と狩場を奪ってゆく。私も懸命にスラッシュブラストでゾンビキノコを倒そうとする。が、あっさりサンダーボルトで獲物を奪われる。

「しね」
「しね」
「しね」
・・・一体ずつしか攻撃できない斬り盗賊君は完全に参ってしまったようだ。


「何故貴様はそうしてまで他人の邪魔をするのだ?」
奴は答えた。
「そういう反応が面白くてやってんだよww」
呆れた。他人の邪魔をして喜ぶ・・・か。

「つうほうするぞ」
斬り盗賊君が言った。以前、私も言われた事がある気がしないでもないな。
「すれば?ww」
しかし、奴は開き直っている様子だ。

・・・だが、これはいい作戦なのかもしれない。奴がタイピングしている間、動きが止まるのだ。その隙を突けば護符を集めることが出来る・・・!奴は短文ながら、煽る事も楽しんでいるようだ。そこを逆手に取る。『内緒話』で私は、斬り盗賊君に作戦を持ちかけた。

『斬り盗賊君、奴に・・・口喧嘩を持ちかけてくれないか?』
『なんで』
『奴がタイピングしてる間、動きが止まるんだ。 つまり・・・君に動きを止める役をやって欲しい。私がその隙を付いて護符を集める。・・・やってくれるか?』
『おk』

承諾は得られた。後は実行するだけだ。私は即座にスラッシュブラストを連発し、狩りを始めた。当然ながら奴に獲物を奪われるわけだが・・・

「oi」
「おい」
「よこすんな」
ついに斬り盗賊君が動き出した。

・・・しかし、奴は動じない。斬り盗賊君を無視し、魔法を詠唱しつづける。作戦は失敗か・・・。そう思った時、奴の動きが止まった。

『うはwww人気度下げられたwwwウザスwwww』
「あたりまえだあほ」
「人気度下げたら負けだwww(プッ」
「お前と違って人気度高いから下げられたって全然痛くねーよwww」

人気度。いまだ私が理解できないそのステータス。
どうやら斬り盗賊君が奴の『人気度』を『下げた』のだろう。

「サブ使ってすぐ戻してやるww」
「後で友呼んで人気度↓してやるぜwww」
「うっせしね」

さっきと言っていることが違うが、それは置いておいて、奴の口数は確実に増えた。斬り盗賊君の作戦はまさに大成功だった。それに口喧嘩が続く間、私は何十枚もの護符を集めることができたのだ。そして画面にメッセージが現れた。

『クエスト終了!』
そして私はこう言った。
『貴様の負けだ。雷魔術師よ。』
「は?w」
雷魔術師は何もわかっていない様子。
「貴様が煽っている間に私達は用事を済ませた。ここにはもう用は無い。せいぜい一人で狩るがいいさ。」

その時、斬り盗賊君から内緒話が送られてきた。
「にんきどさげてにげろ」

下げる方法を聞く時間は無いと感じた私は、おもむろに奴の個人情報を開く。
このキーを押せば下げることが出来るのだろうか・・・?考える間もなく、私は『↓』キーを選択した。

"雷魔術師"様の人気度を下げました。

成功したのだろうか?即座に帰還書を読み、私達はカニングシティーへと逃げ帰るのであった。

・・・少々、スリルを感じた。

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